あすの夢土木

概要

平成23年8月25日9時に、マリアナ諸島の西の海上で発生した台風12号は、発達しながらゆっくとした速さで北上し、29日21時には中心気圧が970hPa、最大風速が25m/sとなった。30日には小笠原諸島付近で進路を北西に変え、9月2日には暴風域を伴ったまま北上して四国地方に接近し、3日10時前に高知県東部に上陸した。
台風が大型で、さらに動きが遅かったため、長時間にわたって台風周辺の非常に湿った空気が流れ込み、西日本から北日本にかけて、山沿いを中心に広い範囲で記録的な大雨となった。特に紀伊半島では、8月30日17からの総降水量は広い範囲で1000mmを超え、奈良県北山村にあるアメダスでは72時間雨量が1652.5mmと当時の国内での観測記録である1322mmを大幅に上回り、総降雨量は1808.5mmに達し、紀伊半島の一部地域では、解析雨量で2000mmを超えるなど、記録的な大雨となった。
このため、土砂災害、浸水、河川のはん濫等により、和歌山県、奈良県、三重県などで多数の死者、行方不明者が発生したほか、北海道から四国にかけて広い範囲で床上床下浸水などの住宅被害、田畑の冠水などの農林水産業への被害、鉄道の運休などの交通障害が発生した。

人的被害平成24年7月6日現在消防庁発表

	死者	行方不明者	重傷者	軽傷者
三重県	2	1	7	10
奈良県	14	10	5	1
和歌山県	56	5	5	3
3県合計	72名	16名	17名	14名

住家被害平成24年7月6日現在消防庁発表

	全壊	半壊	一部破損	床上浸水	床下浸水
三重県	81	1077	71	702	832
奈良県	48	71	17	14	39
和歌山県	240	1753	83	2698	3146
3県合計	369戸	2901戸	171戸	3414戸	4017戸

道路被災

	国道	県道	合計
奈良県	19	35	54ヵ所
和歌山県	44	106	150ヵ所
合計	63ヵ所	141ヵ所	204ヵ所

土砂災害による大規模河道閉塞箇所と規模資料提供：近畿地方整備局

河道閉塞の確認場所	高さ	満水湛水量	崩壊土砂量	土砂災害範囲
五條市大塔町赤谷	85m	550万m3	900万m3	約1100m×450m
十津川村長殿	80m	270万m3	680万m3	約700m×300m
十津川村栗平	100m	750万m3	1390万m3	約950m×650m
野迫川村北股	25m	4万m3	120万m3	約400m×200m
田辺市熊野	60m	110万m3	410万m3	約450m×650m

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