失われていく土木遺産(その1)

 

 

 

初回の土木遺産の紹介は、 「失われゆく土木遺産(その1)」シリーズで、草津川隧道(トンネル)を取り上げてみる。ここでいう、現在の草津川隧道は、 滋賀県草津市大路の国道1号線と旧草津川との交差部で、天井川で有名な旧草津川が国道の上部を通過するという特異な場所である。なお、初代草津川隧道は現在の新草津川隧道より西側約650mに位置する隧道である。新草津川隧道は、当初は上り線2車線で昭和11年3月に建造されたが、交通量の増加に伴って、昭和46年に現在の下り線側2車線が新設されている。

この新草津川隧道は、旧草津川跡地利用計画に伴って、平成27年度中に撤去される予定である。

各写真をクリックすると、拡大図が見られます。

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草津川隧道 京都方坑口上り線(昭和11年竣工)

第二草津川トンネル 名古屋方坑口下り線

(昭和46年竣工)

隧道は、上り側2車線は昭和11年3月に竣工しているが、鉄筋コンクリート製の矩形断面、ボックス

カルバート型で何の変哲もないトンネルである。しかしこれが戦前の作であるという歴史的背景

や、既に建造後80年を経過していながら、西日本の大幹線道路の交通を維持していることを

考慮すると、土木遺産としての価値も見いだされるのではないだろうか。少なくとも、滋賀県内

で初の純RC道路トンネルで、全国的に見てもこのタイプのもので年代が確定しているもの(戦

前のもの)は少ないと思われる。下り線のトンネルは昭和46年に新設されたものである。残念な

がら、この隧道は上にも書いたとおり、平成27年度中に消失することになる

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1946年 米軍撮影 2008年 国土地理院撮影

旧草津川は市街地のほぼ中央を南東から北西に横断して琵琶湖に注ぐ中河川で、JR東海道本線や

国道1号線がその川床の下をトンネルでくぐるという典型的な天井川であった。これまでに、洪水時

に堤防から水が溢れたり、堤防が決壊して沿線に大きな水害をもたらしてきた経緯がある。特に、

天井川であることから、堤防が決壊したときは川の水が全部沿線にあふれだして、大きな被害を

受けていた。また、川底が高いことから、沿線に降った雨は草津川に流れ込まずに市街地にたま

ってしまい、人家が浸水してしまうことも度々発生してきた。これを解消するために、河道をほぼ

直角に曲げて、矢橋帰帆島の北あたりに向けて放水路を建造し、出水時の洪水流を導く新草

津川が2002年に完成し、旧草津川は行政上廃川となっている。

今回の計画では、この草津川隧道を切り下げて、オープンな空間とし、幅員4m程度の歩道橋を新

設する計画である。掘削自体は平成27年度から開始される予定で、まず旧河床部まで切り下げて、

その後、中央部に上り線の回避2車線を建設し、順次切り下げを行う予定のようである。

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現在のトンネル上の旧草津川の状況 隧道下流側の公園整備状況

 

参考資料URL: 旧道倶楽部   廃線隧道【BLOG版】

関連先リンク: 近畿地方整備局滋賀国道事務所  草津市